10月1日 古今亭志ん朝(落語家)

この空港(ロンドンヒースロー空港)で一番働いているのは、あれかもしれませんね

古今亭 志ん朝(ここんてい しんちょう、1938年3月10日 – 2001年10月1日)は、東京の落語家の名跡。3代目の死去に伴い、現在は空席。 5代目古今亭志ん生門下より生まれた名前であり、これまで名乗った3人は全員5代目志ん生を師匠に持っていた(初代と3代目は実子)。

乗り継ぎの時間が少しあったので空港内のカフェでミルクティーを2人で飲みながら歓談した。当時のイギリスは労働党のキャラハン政権で、ストライキが頻発する異様な雰囲気だった。英国病などが盛んに論じられた頃だった。イギリス人は働かない、そういう印象を日本人は持っていた。直後の選挙で保守党のサッチャーが首相になるのだが、労働者天国の時代にまだ若い志ん朝さんを空港でもてなしたのである。
カフェではゆったりした時間が流れていた。フライトナンバーは0から9までの数字を組み合わせて表示するため、しょちゅうクルクルとボードが回っている状態だった。私たちは、それを「パタパタ」と呼んでいた。常にボードがパタパタ回っていたからだ。そのとき彼は突然こういったのだ。遠くで動いているパタパタを指で指しながら「この空港で一番働いているのは、あれかもしれませんね」と。こちらも思わず噴出してしまった。「一本取られた」という感じだった。
親しみを持ったと同時に、この着眼点は只者ではないと感心したことを思い出す。それ以来、私はすっかり志ん朝のファンになった。

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【久恒啓一】
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